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2025/06/10  [PR]
 

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 雑記  cm:0  tb:

あなたもきっと。
他サイト様で素晴らしい夏祭りや花火大会の小説を読んでいるうちにすっかり忘れかけたんですが、実は結構前から杏も書いてました。(いらないカミングアウト)
珍しく、ssです。
そして例によって例の如く、3期。(^^;)
見ない方がいいです。(え)
ぶっちゃけこんなもん読むより、他サイト様の悶絶小説読んだ方が絶対いいです。
でも一ヵ月以上かかってやっと書いたものなので、折角だから載せときます。
本当、向いてないなぁ・・・。
や、や、止めときゃよかったかも。(←チキン)



消えないで、消さないで。
私を、繋ぎとめるもの。





どうしようもなく、愛しい。





ドォッッン。
心臓に響くような音とともに、夏の夜空に綺麗な花が咲く。


「綺麗…」


誰もいないゲゲゲの森の奥。
空高く聳える大木の枝の上に腰掛けて、猫娘は一人、空を見上げている。
あなたも今、きっと同じものを見ているんでしょう。
あたしの隣には、その姿はないのだけれど。

 

 

―――――今日、花火大会があるんじゃと。


どこから情報を仕入れて来たのかは定かではないが、今朝、砂かけのお婆が言った。
元来、行事好きな性格の猫娘は、わくわくと胸を躍らせながらゲゲゲの森を走る。
その足取りは、軽く。まるでスキップでもするかのように。
目的地はそう、幼馴染の家。大好きな、彼のもとへと。
彼女の想い人もまた、祭り好きな性格だ。
きっと、二つ返事でこの誘いを受けてくれるはず。
そう信じて。


「あ…」


元気よく飛び込んだ鬼太郎の家には、先客がいた。


「こんにちは、猫娘さん」


にっこりと微笑む天使のような少女―――夢子は、いつもの空色のスカートではなく、見慣れぬ姿をしていた。
青地に淡い花が咲く浴衣に身を包んだその姿に、思わず見惚れる。


「夢子ちゃん、綺麗…」


それは素直な感想。
彼女の隣にいる鬼太郎も、心なしか嬉しそう。


「本当、良く似合ってるよ、夢子ちゃん」


ああ、そんな言葉、あたしには言ってはくれない癖に。
途端広がる、黒い感情に、猫娘は己の手を握り締める。


「今夜、花火大会があるんだってさ。猫娘も行くだろう?」


そう笑顔で言うあなたは、なんて残酷なの。
何も知らない。何も気付いてない。あたしの、気持ちに。


ごめんね、今夜は用事があって行けないの。
そう言ったあたしを、鬼太郎はどう思ったかしら。
ちょっとは残念に思ってくれた?それとも、好きな子と二人っきりになれて、嬉しい?
そう思ったら怖くなって、鬼太郎が何か言う前にゲゲゲハウスを飛び出した。


本当はあたしだって、浴衣を用意していたけれど。
砂かけのお婆が、見立ててくれた、新しい浴衣。
本当は鬼太郎に、見て欲しかったけど。
でもあの子の隣に並んだって、張り合いの対象にもなれないわ。


「もっと、嫌な子だったら良かったのに」


そうしたら、張り合うことも出来たかもしれない。
渡さないって思えたかもしれない。
あんな…いい子じゃ、何も勝てない。容姿も。性格も。何もかも。あの子には敵わない。


いっそこんな想い、なくなってしまったらいいのに。
そうすれば、届かない想いに胸を焦がすこともない。
素直に、鬼太郎の恋を、彼の幸せを応援出来るのに。
こんな気持ちを抱き始めたのは、いったいいつから。
何も考えず、ただ鬼太郎と訪れる季節を、春夏秋冬を愛でていられたあの時に、戻れたら。


木の幹に頭を預け、昔の記憶を辿って。
まだ今よりもっと幼かった時を思い出す。
今日のように開かれた花火大会に、鬼太郎と二人で行ったことがあった。
人間たちに紛れこんで。あまりお金も持ってなかったけど、夜店で買い物して。
純粋に、楽しんで。花火が打ち上げられれば二人して見上げて、綺麗だね、凄いねって言い合って。
また…一緒に来ようねって。
傷付く怖さを知らずに、約束した。
きっと、鬼太郎はもう覚えていないだろう。
でも、それでいい。
自分が覚えていれば、それで。
思い出は美しいまま、記憶の中だけで輝くから。
いつかあなたがあたし以外の女の子と手を取り合って歩くことを選んだとしても、笑って祝福してみせるわ。
だからその時まで、どうか。
未練たらしく幸福な思い出に浸ることを、許して。

 

相変わらず美しい輝きを散らす花火の音に紛れて、カランコロンと音がする。
聞き慣れた、下駄の音。
小さかったその音は段々と大きくなり、猫娘のいる木の下で立ち止まる。


「こんなところにいたのか」


その声に下を見下ろせば、大好きな顔。


「…鬼太郎」


下から見上げていた鬼太郎は、猫娘と目が合うと、二カッと屈託のない笑顔を見せる。
あっという間に木を登って、信じられないとでも言うように目を見開いている猫娘の隣に、さも当たり前のように座る。


「アパートにはいないし、探したよ」


なんで。
だって、あの子と一緒にいたんじゃないの。
聞きたいことはたくさんあるのに、いまいち言葉が出てこない。


「これ、猫娘に」


そう言って差し出したのはしなやかな体をした猫の、飴細工。
それは被せてあるビニールを取り払ったら、今にも動いて逃げてしまうのではないかと思うほどの。


「君に、ぴったりだと思ってさ」


凄いだろ?と自慢げな鬼太郎が愛しくて。
あの子といても、あたしのこと考えてくれたの?
ふと思い出した程度なのかもしれない。
おまけみたいな感情かもしれない。
でも。それでも。
わざわざこれを渡すために自分を探してくれたことが、堪らなく、嬉しくて。
思わず涙が溢れそうになるのを、俯いて隠した。


「…猫娘?どうかしたのか?」


ふるふると、頭を振る。
嬉しさが、こみ上げてくる。
愛しさが、溢れる。
ああ、やっぱりあたしは。


「…鬼太郎、」

「ん?」


――――――大好き。


小さな小さなその囁きは、まるでタイミングを計ったかのような花火の音にかき消され、鬼太郎には届かなかった。


なんだよ、と聞き返してきた鬼太郎を、ありがとうって言ったのよと誤魔化して。
猫娘は花のように、笑った。


<END>



ひー!ごめんなさい!
本当はこれ、漫画で描きたかったんです。
でも、そんな根性がなかったんだぜ☆(死んでしまえ!)
でも結局ssにしても大変なことに変わりはなかったんだぜ!
ドンマイすぎるんだぜ!
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